立川談春独演会「白談春」第3回

新宿サザンシアター
立川こはる 「たらちね」
立川談春  「たぬき」
立川談春  「禁酒番屋
仲入り
立川談春  「景清」

台風の影響で雨風激しい中を新宿に。
席は18列でかなり後ろ。談春が小さかった。

こはる、「よって件の如し」までたっぷりと「たらちね」を演る。まだまだ拙いけど一生懸命。彼女の高座を観ると、なぜだか広い心で「頑張れ」と応援してしまう。人徳か。
いつもの白談春の趣向で前座噺、二つ目の噺、真打の噺を演る。
「たぬき」は鯉に化けるバージョン。談春いわく「札よりも鯉」の方が好きとのこと。僕もこっちの方が好きである。
禁酒番屋」。談春で初めて聴く。水カステラは、念を入れてカステラをくり抜きその中に徳利を入れるという偽装。これも初めて聴く演出。この噺は番屋の役人の表情が分かる近い席で見たかったな。
「景清」。おこもりで観音様にお祈りをしながら娘と乳繰り合ってしまう場面と、観音様に悪態をつく場面。この噺で僕が好きなのはこの2つの場面である。つまり、人情噺としてのお涙頂戴だけで攻めてくる景清は辛気臭くて苦手である。その点、談春の「景清」は笑いとしんみりのバランスがいい。定次郎のやんちゃさが辛気臭さを程よく中和している。雷を怖がって自分を置き去りにした石田の旦那に悪戯をしかけるという演出も、定次郎の稚気に好感が持てる。定次郎が彫った観音像を見て旦那が「おれが目を付けただけのことはある」、それに答えて定次郎「いえ、あっしに目をつけたのは観音様で」というサゲは初めて聴いた。オリジナルか?