夕刊フジ平成特選寄席

赤坂区民センター

立川志らべ 「たぬき」
三遊亭遊馬 「酢豆腐
柳家喬太郎 「諜報員メアリー」
仲入り
林家彦いち 「熱血怪談部」
立川志らく 「愛宕山

喬太郎が弾けた。いや壊れた? 
この暑さなのでじっとりとした落語を演ると言って、じっとりと話しはじめた喬太郎だったが、会場の赤坂区民センターについて「このあたりに区民なんているんですか」と言い出したのをきっかけに、豊島区、練馬区西武池袋線東武東上線などの「どうせ」エリアの話題に入り、しゃべりに熱と愛情と恨みがこもってくる。そして、東横線高島町駅がなくなったことへの怒りを爆発させる。24歳の時に失恋して「こうなったら汚れてやる」と初めて入った福富町のソープランド。石鹸のにおいをさせて家には帰れないと考え、高島町駅まで走って汗をかいたあの青春のほろ苦い1ページをどうしてくれるんだ、と魂の叫びを区民センターに轟かせた。
いつまでたっても落語に入らず続く枕に、客席は大爆笑。ネタ帳に「高島町」と書いておいてねと言い出すに至って、本当に噺をやらないつもりかと思ったが、ようやく「諜報員メアリー」に。いやはや、枕も本編もすさまじいウケっぷり。

トリは志らくで「愛宕山」。うーん、お芝居疲れのリハビリモードにしては厄介な噺をかけたもんだ。リズムに乗り切れない苛立ちが伝わってきた。