桂吉弥のお仕事です 2008

内幸町ホールにて
古今亭志ん坊 「元犬」
桂吉弥    「たち切れ線香」
仲入り
桂まん我   「ちりとてちん
桂吉弥    「風邪うどん」

20分ほど遅刻して入場。既に吉弥が上がりマクラが始まっていた。7割近くが女性客。テレビの力は凄い。
「たち切れ線香」は丁寧でとてもよい出来だった。でも、談春の「たちきり」を聴いてしまった後では、オーソドックスな「たち切れ線香」の分はどうしても悪くなる。談志の「芝浜」が多くの聞き手に不可逆な変化をもたらしたように、僕には、この噺は型通りでは薄味に感じてしまう。これまで通りの演出で満足を得られるとしたら、圧倒的なテクニックを見せつけられた時しかないだろう。
仲入り後は、まん我。吉弥の会で彼が売り物にしている「ちりとてちん」を掛けるとはいい度胸である。それだけ自信があるのであろうと思わせる爆笑編になっていた。枝雀の芸の血筋をうかがわせるデフォルメされた描写がこの噺によく合っている。
「風邪うどん」ははじめて聴いた。江戸落語の「うどん屋」と比べて、小声で話す理由がちと分かり難い。東京に移植した時に、博打場の場面を落としたのもそこに理由がありそうな。吉弥は「風邪うどん」は、酔客とうどん屋のやり取りがよい。変に酔客をエキセントリックにせず、いかにもありそうな人物像で、その分うどん屋の困惑がよく伝わってくる。