春風亭昇太ムードデラックス

本田劇場にて

立川笑志  「太鼓腹」
春風亭昇太 「長命」
春風亭昇太 「空に願いを」
仲入り
春風亭昇太 「崇徳院

久しぶりの昇太さん。「長命」「崇徳院」ともに古典落語特有の言葉をなるべく排した昇太版古典になっていた。古典なのに登場人物たちはとても現代的。それでいて違和感がない。軽くて明るくて乾いた笑いに溢れていて、聴いていて元気になれる。古典に時事的なクスグリを入れて笑いを取るフツーの落語家とは明らかに違う。
軽々と演っているようで見えるが、本当はかなり計算されているように思う。「崇徳院」の「緋塩瀬の茶ぶくさ」は多くの落語家が言い間違えのクスグリを入れるところだが、これをあっさり「茶ぶくさ」に言い換え、ここでは余計な笑いを取らない。その代わりに、他の人にはない「リアクションの変な茶屋女」を登場させ、これを3度繰り返して新しい笑いの場面を作る。ここらへんにセンスの良さを感じる。男女ほぼ半々で若者から年配までバラバラの客を集客し、これだけまんべんなく笑わせるのだから偉い。